更年期を幸年期に変える

一般的には，更年期と聞くと更年期障害をイメージし，ネガティブな印象を持っている方が多いのではないでしょうか？
それもそのはず，更年期障害の意味で更年期という言葉を使うこともあると思います。
そして，更年期の女性の身体の変化に注目されるようになったのは，社会的な側面が大きく，高齢化が進み，女性の社会進出が進んだことによるもので，女性が健やかに年齢を重ねることが大切になった。
そんな時代背景が影響しているのだと思います。
それでは，更年期とはどんな時期かというと，女性のライフサイクルの中では子供お産み育てる時期と，老年期の間にある45歳～55歳までの時期をいいます。
なので，誰もが一生の内一度は経験します。
そして，この更年期には「閉経」というイベントが絡んでくるのです。

閉経により卵巣から分泌される女性ホルモンですが，特にエストロゲンが低下することで以下のような身体の変化が考えられます。
・ 月経不順：月経周期の短縮や延長、月経血量の増加や減少

・ 骨量の減少：女性の骨量は、思春期から成人期に最大に達し、閉経期に急激に減少します。
そのため、骨粗しょう症の危険域まで骨量が低下するリスクを持ちます。

・ 脂質異常症と動脈硬化症：エストロゲンの低下により、悪玉コレステロールの上昇と
善玉コレステロールが減少し、内臓脂肪が蓄積されます。

・ 生殖器・泌尿器系の萎縮性変化：膣では萎縮性膣炎が発症しやすくなり、
泌尿器系では尿失禁や頻尿が起こります。

・ 皮膚の萎縮：しわ、はりの減退、乾燥、いぼがみられます。

・ 中枢神経系への影響：エストロゲンは、脳血流量の増加や記憶・認知機能に関与します。
そのため、物忘れや集中力の欠如を訴え、うつ状態になる女性も多いです。
また、自律神経失調症によりホットフラッシュ、異常発汗、めまいなどの症状が起こります。
これらの症状が，日常生活を送れなくなる場合，更年期障害となり治療を必要としていきます。

女性ホルモンの中でも，エストロゲンは有名なホルモンの1つです。
エストロゲンとプロゲステロン二つのホルモンがあります。
このホルモンは女性の場合ほとんどは卵巣から分泌されています。

＜ エストロゲン＞
エストロゲンは皮膚の老化を抑え、表皮細胞の増殖を促し、それにより傷の治りを早める方向に働きます。
メラニン色素の生成を促進し，そのためにエストロゲンが高値になる妊娠中では色素沈着や肝斑の発生が増えます。
また，コラーゲンやヒアルロン酸などの水分保持にかかわる物質を増やします。
こうして皮膚の厚みを増しうるおいを保持するのです。

＜ プロゲステロン＞
プロゲステロンは皮膚に付属している皮脂腺に作用して皮脂の分泌を促します。プロゲステロンは月経前に多く分泌されるのでニキビが悪化しやすくなります。

更年期の時期には，この女性ホルモンのエストロゲン，プロゲステロンどちらも低下することにより，皮膚が健やかに保ちにくくなる。そんな特徴を持っています。髪の健やかさも女性ホルモンとかかわりがあります。
とくに，コラーゲンやヒアルロン酸の低下が原因と考えられます。
更年期期の女性だけではなく，月経周期の中でもお肌の揺らぎがあることを理解いただけたと思います。。